靴を揃える人、揃えない人
人様のお宅や旅館などの玄関で、靴を脱ぐというシチュエーションが日本ではいくつかあると思います。その際に、きちんと靴を揃える人とそうでない人に分かれます。訪れる相手を敬う気持ちや礼儀、細かい事にまでに気が効く人は、常に心に余裕があり人にも優しく、仕事も効率良く出来る人が多いようです。プロのスポーツ選手など、世界で活躍される一流の方々にはきちんと出来る方が多いというのを以前本で読んだ事があります。
前職の社長は、従業員のこのような作法に厳しい方でした。僕は幸いに幼い頃から親に注意をされていたので、靴を揃えるという癖はついていました。社員を見ていても、社長に一度注意をされて、その場では直し、次回からきちんと守る人、その場では直すけど、次回からまた揃えない人に分かれました。まずは、目上の人に言われたらそれをきちんと聞いて、次回から意識してそれを守るという事が大切です。とても簡単そうな事ですが、中々できないものです。言われた事を守り、常に細かいところに気が利く人は、どんな場においてもそれが出来ると思います。また、履いている靴を綺麗にしているかというのも大切なことかと思います。”足元を見る”と言いますが、街道筋や宿場などで、旅人の足元を見て疲れ具合を見抜き、それによって値段を要求していたことから来ている言葉です。 客は法外な値段であっても疲れていればその金額で了承してしまう事から、相手の弱みにつけこむ事を『足元を見る』や『足元につけこむ』と言うようになりました。亡くなった伯父が会社員時代、ある大手の会社を訪れた際に、当時まだ若かった伯父は、少し汚れた革靴を履いており、丁重に部屋に通す事を断られたという経験があったそうです。その日を境に靴はいつも綺麗にしたという話を生前良くしていました。その後は一代で立派な会社を立ち上げるまでになりました。ここでお話したいのは、立派な会社を築く社長になりましょうという事ではなく、細かいところにまで、さりげなく気が利く人というのは心豊かな人だと思います。外国の方でも、きちんと靴を揃えてから中に入るのを時々見かけます。そういう時は本当に心が穏やかになります。2020年は東京でオリンピックが行われます。オリンピックを行うことには賛否両論あるとは思います。”おもてなし”も大事ですが、国民一人一人がきちんと靴を揃えて、訪れた外国の方々がそれを見て真似て、それが広がっていったら、もしかしたら少しは世界平和に繋がるような気がします。